コンパクトカメラの活用

■高感度の比較

 S95、WX5はともに高感度性能を謳う(対 同世代機)カメラである。
 そこでISO感度ごとの画像を比較した。

 S95は1/1.7型CCD(1000万画素)であり、WX5は1/2.3型CMOS(1220万画素)であり、
 センサーの種類もサイズや有効画素数も大きく異なる。
 S95の単位画素当りの撮像素子面積は、WX5の約2倍となる。

 
撮像素子 横長×縦長 素子面積 有効画素数 面積/万画素
S95 1/1.7型 7.6mm×5.7mm 43.3平方mm 1000万画素 0.043 平方mm/万画素
WX5 1/2.3型 6.2mm×4.6mm 28.5平方mm 1220万画素 0.023 平方mm/万画素
EOS 60D APS-C 22.3mm×14.9mm 332.3平方mm 1800万画素 0.185 平方mm/万画素
 
   
ISO感度 S95 WX5
ISO125
F2.8・1/6秒

F2.5・1/6秒
ISO200
F2.8・1/10秒

F2.5・1/10秒
ISO400
F2.8・1/20秒

F2.5・1/20秒
ISO800
F2.8・1/40秒

F2.5・1/40秒
ISO1600
F2.8・1/80秒

F2.5・1/80秒
ISO3200
F2.8・1/160秒

F2.5・1/160秒
 
 ISO感度増加に伴う画像の劣化具合は、S95もWX5も似たような傾向になった。
 ISO400から徐々にノイズが目立ちはじめた。
 ISO1600で色調がやや変化してノイズが発生が顕著になってたが、被写体のディテールは辛うじて保たれた。
 しかしISO3200になると縮小画像でもノイズが目立ち、画像が破綻してしまった。
 
 WX5の高感度性能は、面積/画素数が約2倍のS95の高感度性能に迫ると考えられる。
 裏面照射CMOS"ExmorR"と画像処理エンジン"BIONZ"の性能の高さが感じられる結果となった。
 
 綺麗な画像を残したい場合はISO400にとどめておきたいが、ISO800までなら許容できそうだ。
 画質よりも被写体ブレ・手ブレ防止を優先する場合なら、非常用としてISO1600を使っても問題ない。
 ただ余程の理由がない限りISO3200は使わないほうが後悔が少ないと思う。
 S95は上限ISO感度を設定できるので、上限800に設定しておくと勝手がいいと思う。
 また感度の上がり方を“遅め”に設定すれば過剰に感度が上がる事を防げるだろう。

 
S95 WX5

オート
F2.0・1/25秒・ISO-800

プレミアおまかせオート
F2.5・1/20秒・ISO-800

 EOS60Dでは被写体ブレ・手ブレ防止する為にISO3200まで使用してシャッター速度をかせぐ場合があるので、
 コンパクトカメラの高感度性能にはやや物足りなさを感じる。
 APS-Cに比べて面積/万画素が1/8〜1/4と小さいので当然の結果である。
 一眼レフの広角側開放絞り値は一般的にF3.5だが、S95はF2.0、WX5はF2.4と明るいレンズを搭載している。
 その為、ISO感度を1〜2段下げても同等のシャッター速度が得られるかもしれない。
 
 

【WX5のノイズ低減機能】

 またWX5には高速連写により撮影した6枚の画像を重ね合わせてノイズを低減処理をする機能がある。
 "プレミアムおまかせオート(手持ち夜景)"および"人物ブレ低減モード"で撮影した写真と
 同じISO感度でPモードで撮影した写真を比較した。
 
WX5
ISO800
プレミアムお任せオート
F2.4・1・20秒・ISO-800

Pモード
F2.4・1/20秒・ISO-800
ISO1600
人物ブレ低減
F2.4・1/80秒・ISO-3200

Pモード
F2.4・1/80秒・ISO-3200
ISO125
プレミアムお任せオート
F7.1・1/320秒・ISO-125

Pモード
F7.1・1/320秒・ISO-125

 連写合成機能により不自然にならず、高感度撮影時のノイズを大幅に改善する事ができた。
 さらにノイズが減るだけではなく、Pモードでは潰れてしまった造花の布の織り目まで表現された。
 また連写合成機能は、低感度で撮影した写真のノイズ低減にも効果があった。
 積極的に積極したい機能だが、処理に時間がかかる事とバッテリーの消費量が多い事が難点である。
 

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