コンパクトカメラの活用

■まとめ

 すべて状況でEOS60Dの代わりを務める事は難しいが、
 コンパクトカメラにも大きな能力や魅力が秘められている事が分かった。
 
  各々のカメラの能力を理解して、状況に合わせて適切な機能を使用できれば、
 S95やWX5は携帯性というメリットを活かして活躍する事ができるだろう。
 
 EOS60Dが持ち歩けない場合は、S95で対応が可能である。
 サブカメラとして、WX5を併用する事で連写合成HDRやフルHD動画など撮影の幅が広がる。
 
 S95 :一眼レフのようなマニュアル操作性で写真撮影を楽しみつつ、高画質な写真が得られる。
 WX5 :撮影の難しい状況下でCMOSならではの連写合成機能を活かした撮影とハンディカム並の動画撮影。
 
  ●好条件下での風景撮影なら、S95の画質はEOS60Dの画質と大きな差は感じられない。
   S95は特に焦点距離35mm相当F2.8にて撮影すると良い。
   WX5はプレミアおまかせオートでノイズを低減する事が可能であるが、
   レンズ周辺部の歪曲や画像流れが顕著であるため風景写真にはあまり向かない。
 
  ●高感度撮影は、画質を考慮するとISO800以下にとどめる必要がある。
   しかし広角側の明るいF値でシャッター速度を上げれば、手ブレ・被写体ブレが防げる。
   WX5なら「人物ブレ低減」機能で感度を上げながらノイズを低減が行える。
 
  ●S95はAvモードにて絞り値を変更して背景ボケ効果をそれなりに操作する事ができる。
   しかし一眼レフのような大きな背景ボケ効果は得られない。
   WX5は「背景ぼかし」でソフトウェア的に背景をぼかして人物を浮き上がらせられる。
 



■追伸

 これまで裏面照射CMOS搭載カメラは、高速連写機能や動画撮影機能に長けるが画質が荒れると考えていた。
 しかしWX5の検証で、裏面照射CMOSがCCDと比較して極端に描画能力が劣る訳ではない事が分かった。
 またCCDセンサーにはない裏面照射CMOSセンサーのメリットの高さも分かった。
 最近のCMOS搭載カメラの低評判は、小さなセンサーの高画素化とレンズの高倍率化が要因だと推察される。
 一眼レフカメラの殆どがCMOSセンサーを採用しているが、画質が劣るという話はあまり聞かない。
 もともとCMOSセンサーは低照度状況下で素子が不安定となりやすく、ノイズが発生しやすい傾向にある。
 高画素化に伴って画素当りの集光面積が小さくなって発生すしたノイズが画質を低下させている可能性がある。
 1.0M程度に画素を抑え1/2.3型より大きな裏面照射CMOSセンサーを搭載したカメラなら、画質が安定すると思う。
 15Mを超える高画素カメラでも1/1.7型より大きなセンサーを採用すると高画質になる可能性がある。
 またコンパクトカメラはレンズが交換できない為、搭載されたレンズの性能が特に重要となる。
 
 低倍率で性能の高いレンズと大きめで画素を抑えたセンサーを組み合わせた裏面照射CMOSカメラは、
 CCD搭載カメラにはない様々な機能を活かしつつ高画質が得られる可能性がる。
 
 コンパクトなボディーに1インチ裏面照射CMOSセンサーを搭載したCyber-Shot DSC-RX100や有効画素を12.1Mに抑えた1/1.7型裏面照射CMOSセンサーを搭載したPowerShot G15は特に興味深い。

Cyber-Shot
RX100
LUMIX LX7 PowerShot
G15
PowerShot
S110
PowerShot
S95
Cyber-Shot
WX5
撮像素子 2020万画素
1.0型
CMOS
1010万画素
1/1.7型
高感度MOS
1210万画素
1/1.7型
CMOS
1000万画素
1/1.7型
CCD
1220万画素
1/2.3型
CMOS
レンズ
(35mm換算)
28-100mm
F1.8-4.9
24-90mm
F1.4-2.3
28-140mm
F1.8-2.8
24-120mm
F2.0-5.9
28-105mm
F1.8-4.9
24mm-120mm
F2.4-5.9
最短撮影距離
(レンズ前)
5cm 1cm 1cm 3cm 5cm 5cm
撮影感度 ISO125-6400 ISO80-3200 ISO80-12800 ISO80-3200 ISO125-3200
シャッター
速度
30〜
1/2000秒
250〜
1/4000秒
15〜
1/4000秒
15〜
1/2000秒
15〜
1/1600秒
2〜
1/1600秒
液晶モニタ 3型122.9万ドット 3型92.0万ドット 3型92.2万ドット 3型46.1万ドット 3型46.1万ドット 2.8型46.1万ドット
動画撮影 1980×1080/60p
フルHD動画
1980×1080/24fps
フルHD動画
1280×720
HD動画
1980×1080
フルHD動画
手ブレ補正 光学式 光学式
連写性能 10コマ/秒 11コマ/秒 10コマ/秒 1.9コマ/秒 10コマ/秒
バッテリー 約330枚
/約165分
約330枚
/約90分
約770枚 約200枚 約200枚 約230枚
/約115分
サイズ 101.6×58.1
×35.9mm
110.5×67.1
×45.6o
106.6x75.9
x40.1 mm
98.8x59.0
x26.9mm
99.8x58.4
x29.5mm
91.7×51.9
×21.5mm
重量 240g 298g 352g 198g 193g 146g
備考 動画中光学ズーム
オートHDR
EVF対応
NDフィルター内臓
動画中光学ズーム
HDR機能
実像式光学ファインダー
電子水準器
動画中光学ズーム
WiHi(b/g/n)
タッチパネル
動画中光学ズーム
オートHDR
価格.com最安価
13年04月上旬
\46000程度 \34000程度 \37000程度 \28000程度

 高速処理を得意とする裏面照射CMOSがもたらすアドバンテージは大きい。
 1/1.7型より大型センサーと高画質なレンズを搭載して、ミラーレス一眼カメラにも負けない高画質とレスポンスを有する
 従来なかったような超ハイエンドコンパクトカメラが続々と登場する事を期待したい。
 (ただお値段は据え置きにして欲しいが…)

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